保育士 過去問
令和4年(2022年)後期
問38 (社会的養護 問9)

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問題

保育士試験 令和4年(2022年)後期 問38(社会的養護 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
Xちゃん(3歳、女児)は、父からの母に対する身体的暴力を理由に、母と共に母子生活支援施設に入所することとなった。暴力被害の可能性が引き続きあることから、父には施設に入所していることや居住場所を伝えていない。母は離婚の意向を示している。また、母は緊急で逃げ出してきたため、経済的に困窮している。さらに暴力の影響により働ける状況にはなく、うつ病と診断され、心療内科に通っている。

【設問】
次のうち、適切なものを一つ選びなさい。
  • 母が働いていないため、保育所の利用はできず、Xちゃんは母子生活支援施設内で保育を受ける必要がある。
  • 母子生活支援施設入所中は生活保護費の受給ができないため、母子生活支援施設がXちゃん母子の生活に必要な費用を支出する。
  • 暴力の被害にあう可能性があるため、裁判所から父に対して接近禁止命令などの保護命令を出してもらうように職員に協力してもらい手続きをすることができる。
  • Xちゃんにとって実の両親と暮らすことは最善の利益になることから、母子生活支援施設の職員は父母の関係改善を支援方針とする必要がある。
  • 母子生活支援施設の入所期間は法律で2年以内と定められていることから、2年間で母子で自立した生活ができるように施設は支援する必要がある。

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この過去問の解説 (3件)

01

母子生活支援施設とは、児童福祉法に定められる施設です。

<児童福祉法第38条>

母子生活支援施設は、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、

これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、

あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。

選択肢1. 母が働いていないため、保育所の利用はできず、Xちゃんは母子生活支援施設内で保育を受ける必要がある。

不適切です。

〇病気・けがや障害のため保育が困難なとき

〇虐待や配偶者等からのDV(家庭内暴力)のおそれがあるとき

保護者の就労だけでなく、上記の事柄も保育の必要性を認定される理由になります。

選択肢2. 母子生活支援施設入所中は生活保護費の受給ができないため、母子生活支援施設がXちゃん母子の生活に必要な費用を支出する。

不適切です。

母子生活支援施設に入所していても生活保護を受給することができます。

選択肢3. 暴力の被害にあう可能性があるため、裁判所から父に対して接近禁止命令などの保護命令を出してもらうように職員に協力してもらい手続きをすることができる。

適切です。

「接近禁止命令」とは、6ヶ月間、DV加害者がDV被害者の身辺につきまとったり、

住まい(※同居中の住まいは除く)や勤務先などの近くをうろついたりすることを禁止する命令です。

母子生活支援施設はDV被害者の保護から自立支援を進めるための重要な施設となっています。

選択肢4. Xちゃんにとって実の両親と暮らすことは最善の利益になることから、母子生活支援施設の職員は父母の関係改善を支援方針とする必要がある。

不適切です。

必ずしも実の両親と暮らすことが子どもの最善の利益に繋がるということではない。

子どもの最善の利益とは、「その子どもにとって最もよいことは何か」を第一に考えることです。

安心安全な環境の下で心身ともに健やかに過ごす為にはどのような支援が必要かを、

子どもや保護者を取り巻く環境を含め、総合的に考えていく必要があります。

選択肢5. 母子生活支援施設の入所期間は法律で2年以内と定められていることから、2年間で母子で自立した生活ができるように施設は支援する必要がある。

不適切です。

厚生労働省による母子生活支援施設 運営ハンドブック」によると

・母子生活支援施設は、乳児から18歳に至るまでの子どもを対象としている。また1 8歳を超えても、必要があると認められる場合は、20歳に達するまで利用を延長す ることができる。

・退所の時期は、それぞれの抱える課題が解決でき、地域での生活が安定して送ること ができる見込みができた時点であり、それぞれの抱える課題の内容や数、活用できる 資源によって必要な在籍期間は様々である。また、退所については、利用者・福祉事 務所・施設の三者で課題の解決状況について確認したうえで決定することが必要である。

とあります。

よって法律によって入所期間の上限が定められているという事実はありません。

自治体により、おおむねの期間が設定されている地域もあります。

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02

正解は「暴力の被害にあう可能性があるため、裁判所から父に対して接近禁止命令などの保護命令を出してもらうように職員に協力してもらい手続きをすることができる。」です。

選択肢1. 母が働いていないため、保育所の利用はできず、Xちゃんは母子生活支援施設内で保育を受ける必要がある。

母親が働いていなくても、病気・怪我や障害が理由で家庭保育が困難な場合は、保育所への入所は可能です。

また、虐待やDVのおそれがあることも、保育を必要とする事由として定められています。
よって、不適切です。

選択肢2. 母子生活支援施設入所中は生活保護費の受給ができないため、母子生活支援施設がXちゃん母子の生活に必要な費用を支出する。

母子生活支援施設に入所していても生活保護を受給することができます。
よって、不適切です。

選択肢3. 暴力の被害にあう可能性があるため、裁判所から父に対して接近禁止命令などの保護命令を出してもらうように職員に協力してもらい手続きをすることができる。

適切です。
 

選択肢4. Xちゃんにとって実の両親と暮らすことは最善の利益になることから、母子生活支援施設の職員は父母の関係改善を支援方針とする必要がある。

実の両親と暮らすことが絶対的に最善の利益とは限りません。
よって、不適切です。

選択肢5. 母子生活支援施設の入所期間は法律で2年以内と定められていることから、2年間で母子で自立した生活ができるように施設は支援する必要がある。

不適切です。

まとめ

【児童福祉法第38条】
「配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護するとともに、これらの者の自立の促進のためにその生活を支援し、あわせて退所した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。」

参考になった数39

03

DV(ドメスティック・バイオレンス)被害によって避難してきた母子への支援に関する事例問題です。

このようなケースでは、「安全の確保」と「法的・経済的権利の行使」をいかに迅速に行うかが鍵となります。

選択肢1. 母が働いていないため、保育所の利用はできず、Xちゃんは母子生活支援施設内で保育を受ける必要がある。

不適切です。

母が就労していなくても、DV被害や心身の健康状態(うつ病)により「保育にあたることが困難」と判断されれば、保育の必要性が認められます。母子生活支援施設に入所しながら地域の保育所に通うことは一般的であり、母の静養や自立準備の時間を作るためにも重要です。

選択肢2. 母子生活支援施設入所中は生活保護費の受給ができないため、母子生活支援施設がXちゃん母子の生活に必要な費用を支出する。

不適切です。

母子生活支援施設に入所していても、経済的に困窮している場合は生活保護を受給することが可能です。施設は居住場所と自立支援を提供しますが、生活費そのものをすべて施設が肩代わりする仕組みではありません。

選択肢3. 暴力の被害にあう可能性があるため、裁判所から父に対して接近禁止命令などの保護命令を出してもらうように職員に協力してもらい手続きをすることができる。

適切です。

DV防止法に基づき、裁判所に対して「保護命令(接近禁止命令や電話等禁止命令など)」を申し立てることができます。施設職員は、母の不安に寄り添い、弁護士や警察、配偶者暴力相談支援センターと連携して、この法的な手続きを全面的にサポートします。

選択肢4. Xちゃんにとって実の両親と暮らすことは最善の利益になることから、母子生活支援施設の職員は父母の関係改善を支援方針とする必要がある。

不適切です。

「両親と暮らすことが最善の利益」という原則はありますが、暴力がある場合は別です。子どもの安全と心身の健康が脅かされている状況では、父との分離を維持し、母子の安全を第一に考えることが「最善の利益」に適います。安易な関係改善の強要は二次被害を招く恐れがあります。

選択肢5. 母子生活支援施設の入所期間は法律で2年以内と定められていることから、2年間で母子で自立した生活ができるように施設は支援する必要がある。

不適切です。

母子生活支援施設の入所期間について、法律上の期限(2年など)は定められていません。世帯の自立に向けた状況に応じて期間は柔軟に判断されます。

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