保育士 過去問
令和7年(2025年)前期
問159 (保育実習理論 問19)

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問題

保育士試験 令和7年(2025年)前期 問159(保育実習理論 問19) (訂正依頼・報告はこちら)

次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。

【事例】
児童発達支援センターで実習をしている大学生のFさん(20歳、女性)は、自閉スペクトラム症であるHちゃん(5歳、女児)の支援を担当することになった。Hちゃんは言葉によるコミュニケーションと、活動の切り替えが苦手である。Hちゃんが外遊びをしているとき、昼食の時間になったため、Fさんが「Hちゃん、お昼ご飯の時間だから、お部屋に入ろう」と声をかけた。しかしHちゃんはFさんの声かけに反応せず遊び続け、保育室に入ろうとしなかったため、Fさんは困ってしまった。

【設問】
次のうち、Fさんの振り返りの内容として、適切なものの組み合わせを1つ選びなさい。

A  Hちゃんが自分の声かけに反応しなかったのは、障害とは関係なく、今日初めて支援を担当した実習生にまだ慣れていなかったからで、この場面ではすぐに担当の職員を呼びに行った方がよかった。
B  Hちゃんが反応しなかったのは、遊びに集中していて、自分の声かけが耳に入らなかったからではないかと考えた。
C  Hちゃんは言語によるコミュニケーションが苦手なので、声かけだけでなく、手を引っ張ったり、肩をつかんで保育室が視界に入るよう体の向きを変えたりするなどの支援が必要だった。
D  Hちゃんは活動の切り替えが苦手なので、外遊びの前にイラスト付きのスケジュール表を見せながら見通しを持てるように支援する必要があった。
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この過去問の解説 (3件)

01

発達支援に関する問題です。

 

<自閉症スペクトラム症(ASD)>

社会的コミュニケーションの困難さと、限定された反復的な行動、興味、活動を特徴とする神経発達症の一つです。この名称は、症状の現れ方や重症度に個人差が大きく、連続体(スペクトラム)をなしているためつけられたものです。

 

A → ×

不適切です。

声掛けに反応しなかったのは、社会的コミュニケーションの困難さが原因であることが考えられます。したがって、担当の職員が同じように声をかけたところで行動に変化はみられないことが予想されるので、この対応は不適切です。

 

B → ○

適切です。

Aのようにコミュニケーションの困難さが原因であることも考えられますが、この記述のように集中していて声が届かなかったと考えることもできます。このように、ひとつの子どもの表れを見て様々な視点から考察していくことは、保育において大変重要です。

 

C → ×

不適切です。

行動を変えるための強引な関わりは、子どもの気持ちや思いに寄り添わない不適切な保育となります。

 

D → ○

適切です。

自閉症スペクトラム症などの発達に障害がある子だけでなく、子どもは声からの情報よりも視覚的な情報の方がキャッチしやすい傾向にあります。視覚的に情報を伝えながら、理解しやすいように工夫することは適切な援助といえます。

選択肢4. B  D

正答です。

参考になった数34

02

Hちゃんの特性と、場面を理解して問題を解いてみましょう。

Hちゃん:自閉症スペクトラム症(ASD)、言語によるコミュニケーションが苦手、活動の切り替えが苦手

場面:外遊び中に昼食の時間になり、Fさんが声をかけたが、Hちゃんは反応せず遊びつづけた



A  Hちゃんが自分の声かけに反応しなかったのは、障害とは関係なく、今日初めて支援を担当した実習生にまだ慣れていなかったからで、この場面ではすぐに担当の職員を呼びに行った方がよかった。(×)

たしかに、慣れていないことも原因のひとつかもしれません。

しかし、それだけではありません。

「慣れていないから反応しないのだろう」で振り返りを終わらせてしまうと、障害の特性や支援方法を見落とす可能性があります。

どうすればよかったか考えてから職員に相談するのもいいでしょう。

 


B  Hちゃんが反応しなかったのは、遊びに集中していて、自分の声かけが耳に入らなかったからではないかと考えた。(〇)

ASDの子どもには、過集中や、耳から聞いた情報の処理が苦手なこともあります。

遊びに没頭しすぎてしまい、周りの音や声が入らない部分があったかもしれません。もちろんHちゃんに悪気はありません。

また、何かを言っているのは分かっていても、理解するのが難しいときもあります。


C  Hちゃんは言語によるコミュニケーションが苦手なので、声かけだけでなく、手を引っ張ったり、肩をつかんで保育室が視界に入るよう体の向きを変えたりするなどの支援が必要だった。(×)

保育として適切な支援ではありません。

本人の主体性を無視して関わるべきではありませんし、

本人はもちろん、周囲にも良い影響は与えません。


D  Hちゃんは活動の切り替えが苦手なので、外遊びの前にイラスト付きのスケジュール表を見せながら見通しを持てるように支援する必要があった。(〇)

ASDの子どもは、見通しをもつと安心できます。

イラスト付きのスケジュールなら、次の行動に向けた心の準備ができますし、何度も確認することができます。

イラストつきのスケジュールを見て自分で「次はこう動こう」と決められるのは、強制している感じがなく、自己決定につながります。

 

選択肢4. B  D

正解です。

まとめ

保育現場で「声を掛けたのに反応が返ってこない」ということは、よくあります。「こちらの言い方がその子どもに合っていなかった」「たまたまタイミングが悪かった」など、大事なのは「なぜそうなったか」を考えて振り返り、次に活かすことです。

また、障害をもつ子どもへの関わり方としては、得意なことやできることに目を向けるのも忘れないようにしましょう。

参考になった数3

03

自閉症スペクトラム症の子どもへの理解を問う問題です。自閉症スペクトラムはコミュニケーションが苦手、言葉の発達の遅れ、強いこだわりなどの特徴が見られます。

選択肢4. B  D

A:× 声に反応しないのは、障害との関係も考えられ、言葉による関わりだけでは、Hちゃんには理解が難しい状況です。

 

B:○ 健常児でもこのような場面はよく見られますね。Hちゃんも 好きなことに集中していたため、声が耳に入らなかったと考えられます。

 

C:× 発達障がいのある子どもの中には、感覚過敏の子どももいます。ただ、このように強引な関わりは、どの子どもにも不適切な行為になります。

 

D:○ 言葉だけでは理解が難しいため、絵カードなどを使って、視覚から情報を伝えることは、Hちゃんにとって必要な支援になります。

 

 

以上のことからこの選択肢は正答です。

まとめ

保育では、一人一人の子どもを理解することから始まります。そして、その理解を深めるための振り返りが、保育の質の向上につながります。

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