保育士 過去問
令和7年(2025年)前期
問88 (保育の心理学 問8)

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問題

保育士試験 令和7年(2025年)前期 問88(保育の心理学 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、動機づけに関する記述として、不適切なものを1つ選びなさい。
  • 内発的動機づけは、その活動自体をすることで達成感や満足感を得ることを目的とする。
  • 外的な報酬はやる気や意欲を高めることもあれば、エンハンシング効果のように、外的な報酬によって本来のやる気や意欲が阻害されることもある。
  • 環境と効果的に相互交渉する能力はコンピテンスと呼ばれ、自己の活動の結果として、環境に効果や変化をもたらすことができたという効力感によって様々な活動が動機づけられる。
  • セリグマン(Seligman, M.E.P.)によれば、行動しても期待した結果が出ない経験を繰り返すことで、何をしても無駄だと学習してしまい、やる気をなくすことを学習性無力感という。
  • 自分で自分の行動を決めようとする自律性が損なわれると、やる気や意欲は低下する。

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この過去問の解説 (2件)

01

動機づけの理論を理解しておきましょう。

選択肢1. 内発的動機づけは、その活動自体をすることで達成感や満足感を得ることを目的とする。

*内発的動機づけは、お金や評価などの外的な報酬ではなく、自らの内側から出るやる気や向上心など、行動自体にやりがいを感じることです。

選択肢2. 外的な報酬はやる気や意欲を高めることもあれば、エンハンシング効果のように、外的な報酬によって本来のやる気や意欲が阻害されることもある。

不適切です。

*この記述は、アンダーマーイニング効果のことです。

エンハンシング効果とは、褒められたり評価されることによって、自分に自信をもち行動できるようになることです。

選択肢3. 環境と効果的に相互交渉する能力はコンピテンスと呼ばれ、自己の活動の結果として、環境に効果や変化をもたらすことができたという効力感によって様々な活動が動機づけられる。

*コンピテンスは、自己決定理論の欲求の一つになります。

選択肢4. セリグマン(Seligman, M.E.P.)によれば、行動しても期待した結果が出ない経験を繰り返すことで、何をしても無駄だと学習してしまい、やる気をなくすことを学習性無力感という。

*避けることが難しいことでストレスになり、何をしてもだめだと学習してしまうことです。

選択肢5. 自分で自分の行動を決めようとする自律性が損なわれると、やる気や意欲は低下する。

*自己決定理論の欲求の中の一つで自律性のことです。

まとめ

保育者の関わりが、子どものやる気につながる動機づけになります。

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02

動機づけ、何かをしようとするときの「きっかけ」に関する問題です。

選択肢1. 内発的動機づけは、その活動自体をすることで達成感や満足感を得ることを目的とする。

適切です。

内発的動機づけとは、お金や評価ではなく、「活動そのものが楽しい」と思い、行動のきっかけにつながることです。

絵を描くこと自体が楽しいから描き続ける、などです。

選択肢2. 外的な報酬はやる気や意欲を高めることもあれば、エンハンシング効果のように、外的な報酬によって本来のやる気や意欲が阻害されることもある。

不適切です。これが正解です。

外的な報酬によって本来のやる気や意欲が阻害されることもある」は、アンダーマイニング効果の説明をしています。

 

本来はやる気があったにも関わらず報酬をもらうことで、かえってそれがプレッシャーになり、やる気をなくしてしまうことがあります。これをアンダーマイニング効果といいます。underminingは「土台を崩す」「徐々に弱らせる」という意味です。本来あったやる気を崩すという意味になります。

 

エンハンシング効果は、もともとやる気が低かったところに報酬があり、結果的によい行動につながっていくことです。

enhancingは「向上させる」という意味です。

選択肢3. 環境と効果的に相互交渉する能力はコンピテンスと呼ばれ、自己の活動の結果として、環境に効果や変化をもたらすことができたという効力感によって様々な活動が動機づけられる。

適切です。

例えば、玩具を振ったらガラガラと音を鳴らすことができた、積み木を高く積めた、課題を克服できたといった効力感があります。

選択肢4. セリグマン(Seligman, M.E.P.)によれば、行動しても期待した結果が出ない経験を繰り返すことで、何をしても無駄だと学習してしまい、やる気をなくすことを学習性無力感という。

適切です。

電気ショックを与えられ続けた犬が、その後逃げられる状況になっても逃げようとしなくなったという実験はとても有名です。

選択肢5. 自分で自分の行動を決めようとする自律性が損なわれると、やる気や意欲は低下する。

適切です。

デシとライアンの自己決定理論からの出題です。

自律性(自分で選ぶ感覚)、有能感(できるという感覚)、関係性(他者とつながりたい)という欲求が満たされると、やる気や意欲は伸びていきます。

まとめ

行動のきっかけをどう作れるかは、日々保育者が実践として取り組んでいることのひとつです。

一見、よく思われない「報酬」も、時と場合によってとても役立つツールになります。

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