保育士 過去問
令和7年(2025年)後期
問92 (保育の心理学 問12)

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問題

保育士試験 令和7年(2025年)後期 問92(保育の心理学 問12) (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、高齢期における心理的適応に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを1つ選びなさい。

A  コンボイモデルでは、個人を中心とした同心円によって対人関係を表す。高齢期には、社会的役割の喪失や生活圏の縮小により、同心円の中心付近にある社会的関係の重要性がより高まる。
B  フレイルとは、高齢期以降の心身や環境の変化にうまく適応した状態やプロセスを表す概念である。
C  バルテス(Baltes,P.B.)によれば、人は自分の生理的機能の低下による日常生活への影響を補うために、生活を選択し、そのために自分がもっている機能を最大限に活かした方略をとることで、適応していくことができる。
D  エリクソン(Erikson,E.H.)によれば、高齢期における心理社会的危機は「統合対孤独」であり、統合の感覚が孤独を上回ると、人生を受容することができ、死の不安から解放される。
  • A:○  B:○  C:×  D:×
  • A:○  B:×  C:○  D:○
  • A:○  B:×  C:○  D:×
  • A:×  B:○  C:×  D:○
  • A:×  B:×  C:×  D:○

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この過去問の解説 (3件)

01

人の発達段階の中でも高齢期に関する問題です。発達を体系的に理解しておきましょう。

選択肢3. A:○  B:×  C:○  D:×

A:○ コンボイモデルは、円の一番中心に自分がいて、その周りの円に、対人関係を表わす構造です。中心の自分のすぐ周りには、大切な人や好きな人がいます。高齢者になると自分の中心付近には、社会的関係の重要性が高まります。

 

B:× フレイルとは、加齢による体力低下により、老いてきた状態のことです。

 

C:○ バルテスのSOC理論(S:選択 O:最適化 C:保障)のことで、年齢によって機能が低下してもSOCを通して適応していくことです。

 

D:× 高齢期における心理社会的危機は「統合対絶望」であり、自分の人生を振り返リ、自己を見つめ直します。

 

 

以上のことからこの選択肢は正答です。

 

まとめ

核家族や少子高齢化が進む現在、子どもとのふれあいは高齢者にとって、心理的促進を促すことにつながります。

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02

この問題で絶対に落としてはいけないポイントは、

「用語の正確な定義」と「発達段階ごとのキーワードの組み合わせ」です。

特にエリクソンの発達段階は、各時期の「心理社会的危機」の対になる言葉を入れ替えて引っかけるのが試験の王道パターンです。

また、近年注目されている「フレイル」のような身体的な状態を示す言葉と、

「成功的加齢(サクセスフル・エイジング)」のような心理的適応を示す言葉を混同しないように注意が必要です。

高齢者が「失うもの」ばかりに目を向けるのではなく、

残された資源をどう活かして人生を統合していくかというポジティブな側面を意識して、

各選択肢を見ていきましょう。

選択肢3. A:○  B:×  C:○  D:×

A:○

カーン(Kahn)らが提唱したモデルです。

自分を取り巻く対人関係を、親密度に応じて3つの同心円(コンボイ)で捉えます。

加齢とともに外側の円(仕事関係など)は減少しますが、中心付近の円(家族や親友など)は安定して残り、

精神的な支えとしての重要性が増していきます。

 

B:×

「フレイル(虚弱)」は適応した状態ではなく、健康な状態と要介護状態の「中間」にある、

心身の活力が低下した「脆(もろ)い状態」を指す言葉です。設問のような「うまく適応した状態」を指す概念としては、

「サクセスフル・エイジング」や「レジリエンス(回復力)」が適切です。

 

C:○

バルテスが提唱した「SOCモデル(補償を伴う選択的最適化)」の正しい説明です。

選択(Selection):優先順位を絞る。

最適化(Optimization):残された能力を最大限に磨く。

補償(Compensation):補助具や他人の助けを借りて補う。

この3つを組み合わせることで、心身の機能が低下しても「より良く生きる」ことができるという理論です。

 

D:×

キーワードが入れ替わっています。 エリクソンが提唱した高齢期の心理社会的危機は、

「統合(自己統合)対 絶望(ぜつぼう)」です。

設問にある「孤独(孤立)」は、成人初期(青年期の後)の課題である「親密 対 孤独」のキーワードです。

国家試験では、このように別の段階の言葉を混ぜる引っかけが非常に多いので注意しましょう。

まとめ

高齢期の心理的適応を攻略するための鉄則は、以下の3つの「カタカナ・漢字キーワード」のセットです!

コンボイモデル:「同心円」で対人関係を捉える!中心の絆が大事!

バルテスのSOCモデル:「選択・最適化・補償」で適応する!

エリクソンの第8段階:高齢期は「統合 対 絶望」!(※「孤独」ではない!)

身体的な衰え(フレイル)はあっても、心理的には「人生をまるごと受け入れる(統合)」という、

「尊厳の保持」にもつながる大切な考え方です。

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03

今回は「老いることにどう適応していくか」という、老年心理学の重要テーマです。 

すべてそれらしい文章に見えますが、「医学用語のすり替え」と「エリクソンの超定番の言葉のひっかけ」が仕込まれています。

選択肢3. A:○  B:×  C:○  D:×

A  コンボイモデルでは、個人を中心とした同心円によって対人関係を表す。高齢期には、社会的役割の喪失や生活圏の縮小により、同心円の中心付近にある社会的関係の重要性がより高まる。

護衛艦隊(コンボイ)のように、対人関係のネットワークを円で表す理論です。

 

自分を中心とした3重の円を描きます。

 

第3の円:役割でつながる人

第2の円:少し距離のある友人・親戚

第1の円:絶対に失いたくない人

自分

 

第1の円(一番内側:絶対的な存在) 

「もしこの人がいなくなったら、自分の人生が完全に変わってしまう」という、何があっても失いたくない存在です。

(例:パートナー、子ども、親、親友など)。

利害関係がなく、愛着や絆で結ばれています。

 

第2の円(真ん中:安定した関係)

「定期的によく会うし、お互いのことをよく知っていて、困った時は助け合える」という親戚や友人たちです。

 

第3の円(一番外側:役割のつながり) 

職場の同僚や近所の人、趣味のサークルの仲間など、特定の役割やシチュエーションがあるからこそ繋がっている人たちです。

環境が変わると、メンバーも入れ替わります。

 

若い頃は第3の円が一番大きく(仕事や趣味のつながり)、年を取るにつれて、第3の円の人数は減っていく(護衛艦/コンボイが離れていく)

とされています。

 

周りの繋がり(第3の円)が減るからこそ、高齢期の人は「残された一番内側の深い関係(第1の円)」をものすごく大切にするし、そこから生きるエネルギーを補給して、幸せに暮らすことができます。


B  フレイルとは、高齢期以降の心身や環境の変化にうまく適応した状態やプロセスを表す概念である。
正しくは「健康と介護が必要な間の、心身が衰えた虚弱状態」です。

フレイル(Frailty)は「虚弱」という意味のマイナスの状態を指す言葉です。

 

昔は、年をとるステップは「元気(健康)」か「寝たきり(要介護)」の2択(0か100か)でイメージされがちでした。

でも、実際はそうではありません。

その間にある「ちょっとヨボヨボしてきた、中間のグレーゾーン」にスポットを当てたのがフレイルです。

 

少しヨボヨボになっても対策をすれば、比較的健康でいられます。

ですが「年だから仕方ない」と諦めてしまえば、一気に寝たきりのほうへ転がっていってしまいます。

 

フレイルには、連鎖する「3つの側面」があります。

身体的フレイル(からだ) :筋肉が落ちて、歩くのが遅くなる。ペットボトルのキャップが開けられなくなる。

精神・心理的フレイル(こころ): 認知機能がちょっと落ちたり、「なんだか最近、何もやる気が起きないな……」とふさぎ込みがちになる。

社会的フレイル(つながり) :定年退職や友人の喪失で、家から一歩も出なくなり、誰とも喋らなくなる。

 

保育の世界で「子どもの発達は、からだ・こころ・社会性が全部つながって育つ」と言うのと同じように、高齢期も「からだ・こころ・社会性」のすべてが連動して衰えていきます。

 

 

C  バルテス(Baltes,P.B.)によれば、人は自分の生理的機能の低下による日常生活への影響を補うために、生活を選択し、そのために自分がもっている機能を最大限に活かした方略をとることで、適応していくことができる。

バルテスの適応理論(SOC理論、選択・最適化・補償理論)の説明です。

中身は「限られたエネルギーで、いかに賢く、したたかに人生を勝ち抜くか」という、高齢期の最高のライフハック理論です。

 

有名なピアニストが老いて動けなくなってきたとき、このような工夫をしました。

S:選択(Selection)

体力や記憶力が落ちたので、あれもこれも弾くのをやめて、「自分が今一番得意な、数曲だけ」にレパートリーを厳選しました(目標の絞り込み)。

 

O:最適化(Optimization)

若さと勢いでクオリティを保てた頃と違い、厳選した数曲だけを時間をかけて猛練習しました(今ある自分の力を最大限に高める)。

 

C :補償(Compensation)

どうしても加齢で指のスピードは落ちてしまいます。

そこで心理テクニックを使い、早く動いているようにみせました。

 

保育ではこのように使えます。

明日持っていくものの準備が苦手な子どもがいたとします。

S:選択

まずは「筆箱と宿題だけは確実にランドセルに入れる」というスモールステップに目標を絞ります。

 

O:最適化

その2つを揃えるために、お家に帰ってきたらランドセルの横に専用の箱を作り、毎日そこで必ず準備をするルーティンを徹底します。

 

C:補償

「頭のなかで持ち物を思い出す」のが難しければ、絵カードを見ながら目で確認できるようにします。

 

D  エリクソン(Erikson,E.H.)によれば、高齢期における心理社会的危機は「統合対孤独」であり、統合の感覚が孤独を上回ると、人生を受容することができ、死の不安から解放される。

正しくは「統合(自己統合) 対 絶望」です。

まとめ

大切な人を心の中心に置く=コンボイモデル。

健康と要介護のあいだの「虚弱状態」=フレイル。

衰えをカバーして、今ある力で賢く生きる =バルテスのSOC理論。

エリクソンの人生最後の課題 = 「統合 対 絶望」。

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