保育士 過去問
令和7年(2025年)後期
問99 (保育の心理学 問19)
問題文
次のうち、保育における子どもの発達課題や援助に関する記述として、適切なものを2つ選びなさい。
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問題
保育士試験 令和7年(2025年)後期 問99(保育の心理学 問19) (訂正依頼・報告はこちら)
次のうち、保育における子どもの発達課題や援助に関する記述として、適切なものを2つ選びなさい。
- 個人差には、他児と比較したときに明らかになる個人内差と、その子ども自身の能力や興味の差である個人間差があり、いずれも子どもにとっての発達課題として捉えられる。
- 乳幼児期を通して育つ「資質・能力」が具体化された、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、卒園を迎える年度の後半に見られるようになる姿であるものの、到達すべき目標ではない。
- 個別の指導計画においては、各年齢における発達課題を基に保育の内容を考えていくことが基本となる。
- 発達期待は文化によって異なるため、外国籍家庭や外国にルーツをもつ家庭に対しては、日本の文化における発達期待を伝え、受け入れてもらうことを重視した関わりが求められる。
- 発達の最近接領域は、個人によって異なるため、保育士は一人一人の子どもの発達しつつある過程を捉え、援助を考えていくことが重要である。
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この過去問の解説 (3件)
01
子どもの発達における保育者の援助に関する問題です。
不適切です。
*個人差には、他児と比較したときに明らかになる個人間差と、その子ども自身の能力や興味の差である個人内差があります。
適切です。
*到達すべき目標ではなく、あくまで指標であり子どもの育ちをイメージするものです。
以上のことからこの選択肢は正答です。
不適切です。
*子どもの姿から見られる育ちや課題から、保育内容を考えていくことで、各年齢における発達課題を基に考えるものではありません。
不適切です。
*発達期待は、日本の文化を受け入れてもらうことではなく、その家庭の文化を尊重し、お互いが理解を深める関わりです。
適切です。
*発達の最近接領域は、個人によって異なるため、一人一人の発達段階を見極め、援助することが重要になります。
以上のことからこの選択肢は正答です。
子どもの姿から発達を見つめ、一人一人に合った目標や援助をしていくことが大切です。
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02
この問題で絶対に押さえておくべきポイントは、
「個人差の正しい意味(個人内と個人間)」と、「保育指針における目標の捉え方」です。
子どもには「他の子と比べてどうか(個人間差)」という違いと、
「その子の中で何が得意で何が苦手か(個人内差)」という2つの違いがあります。
また、保育所保育指針に示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)」は、
あくまで「方向性」であり、全員が同じように到達しなければならない「ノルマ(目標)」ではないという点が、
国家試験において最もよく狙われる引っかけです。
これらを意識しながら、各選択肢を見ていきましょう。
不適切です。
用語の定義が完全に逆(すり替え)になっています!
個人間差(こじんかんさ):「Aちゃんは走るのが速いけれど、Bちゃんはゆっくり」といった、他児(他の人)と比較したときの違いです。
個人内差(こじんないさ):「Cくんは、絵を描くのは得意だけれど、運動は苦手」といった、その子ども自身の能力や興味の中にある凸凹(得意・不得意)の違いです。
適切です。
保育所保育指針における極めて重要な記述です。
「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(協同性、道徳性・規範意識の芽生えなど10項目)」は、
保育士が指導を行う上での「方向性(コンパス)」を示すものであり、
「卒園までに全員が必ず到達しなければならない絶対的な目標(ノルマ)」ではありません。
子ども一人ひとりの発達のペースは異なるため、到達度を一律に評価するような使い方は不適切とされています。
不適切です。
「各年齢における発達課題を基に」という部分が不適切です。
「個別の指導計画」は、一般的な年齢の基準(〇歳だからこれができるはず、等)に当てはめるのではなく、
「その子ども自身の現在の発達過程や、興味・関心、生活の実態(個人差)」を基に作成されなければなりません。
年齢ベースではなく、個人ベースで考えるのが個別指導計画の大原則です。
不適切です。
「日本の文化を受け入れてもらうことを重視」という姿勢が、
現代のソーシャルワークや保育の理念(多文化共生)に反しています。
家庭の文化や背景によって、「何歳で何ができるようになるべきか(発達期待)」は大きく異なります。
支援者は日本のやり方を一方的に押し付けるのではなく、
保護者の文化的背景を「尊重し、理解し、共にすり合わせていく」という受容的・共感的な関わりが求められます。
適切です。
ヴィゴツキー(Vygotsky, L.S.)が提唱した「発達の最近接領域(ZPD)」の正しい理解です。
最近接領域とは、「自分一人ではまだできないけれど、
大人や少し発達の進んだ友達のヒント(援助=足場かけ)があればできる領域」のことです。
この領域は子ども一人ひとり違うため、
保育士は「今、この子にはどんな援助があれば次のステップへ進めるか」を見極めて関わることが重要です。
保育における発達課題と援助のポイントは、以下のキーワードで整理しておきましょう!
個人差の違い:他の子と比べるのは「個人間差」!自分の中の凸凹は「個人内差」!
10の姿(育ってほしい姿):あくまで方向性であり、「到達すべき目標(ノルマ)ではない」!
個別の指導計画:年齢ではなく、「その子自身の実態」をベースに作る!
ヴィゴツキーの最近接領域:大人のサポートがあればできる範囲を見極め、適切な「援助(足場かけ)」を行う!
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03
現代の多様な家庭に寄り添う、包括的な支援の視点を持てているかが問われます。
子どもたちの育ちを見つめる物差しには、大きく分けて2つの視点があります。
個人間差(こじんかんさ):
他の子ども(集団)と比較したときに明らかになる、成長や発達の違いのことです
例:
・「Aちゃんはもう走れるけれど、Bくんはまだ伝い歩きをしている」
・「クラスの平均に比べて、この子は身長が高い」
人と人の「間」を比べる視点です。集団の中でのそのども子の現在地を知る目安にはなりますが、こればかりを気にしすぎると「周りより遅れているからダメだ」となってしまうため、注意が必要です。
個人内差:
その子ども自身の内側にある、能力・興味・発達スピードのデコボコのことです。
例:
・言葉の表現はものすごく得意だけれど、運動面は少しゆっくり
・お絵描きには何時間も集中するけれど、お片付けはすぐ飽きちゃう
その子の「内側」だけを見る視点です。他の誰とも比べず、その子自身の「得意なこと・苦手なこと」のバランスをそのまま受け止め、個別にどんな援助が必要かを考えるための、保育において大切です。
子どもたちの育ちは一人ひとりグラデーションであり、卒園の日にこの姿に届いていなくても全く問題ありません。
「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は卒園テストではありません。
「個別の」計画と言っているのに、基準が「各年齢の発達課題(みんなと同じ平均値)」になっていて矛盾しているため不適切です。
「文化の押し付け」です。
たとえば、アメリカや欧米の多くの家庭では、早ければ赤ちゃんが退院したその日から「子ども部屋」にベビーベッドを置き、1人で寝かせるのが一般的です。日本は添い寝が一般的です。
もし仮に日本の文化で育って海外に行って、「退院した日から赤ちゃんを個室で寝かせてくださいね」と言われたら、親御さんは不安になりますよね。
全く同じ押し付けが、外国籍の家庭に対しても起きてしまいがちです。
ヴィゴツキー(Vygotsky)は、子どもの発達のレベルを2つに区切って説明しました。
現在の発達水準:
大人が手助けをしなくても、子どもが「今、1人で完璧にできる」状態のことです。
潜在的発達水準:
今はまだ1人では無理だけれど、保育士がヒントを出したり、友達がやっているのを見たりすれば、「協力して、今すぐにでも達成できる」状態のことです。
この、「1人でできる限界(現在)」と「手伝ってもらえばできる限界(潜在)」のあいだに挟まれた隙間の領域のことを、「発達の最近接領域」といいます。
保育者がこの隙間を見定め、うまく手助けを行うことで、子どもはその隙間を自力で埋められるようになり、次のステップへ進みます。
個人間差→他の子と比較したときに見える違い。
個人内差→その子自身の得意・不人気の能力のデコボコ。
発達の最近接領域→ 「1人でできるレベル」と「手伝ってもらえばできるレベル」の「あいだの領域」。
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